日本一の会計士事務所を目指すスタートアップ企業が、移転先にセットアップオフィスを選んだワケ

スタートアップ企業ならではの視点から考えるオフィス選びと働き方、セットアップオフィスを選んだ理由、そしてセットアップオフィスへの移転で得られた成果について、自身も公認会計士である同社代表取締役CEOの山本健太郎さんにお話を伺いました。
- 社名:株式会社SoVa
- ウェブサイト:https://sovagroup.co.jp/
- 設立:2019年 9月
- 資本金:1億円(準備金含む)
- 事業内容:会計事務所SoVaの運営
- 住所:東京都千代田区神田紺屋町15 グランファースト神田紺屋町2階
- お話を伺った方:代表取締役CEO 公認会計士 山本健太郎さま
- 資金調達を機に会社としてのステップアップを社内に伝えたい
- 増える社員を収容できる規模のオフィスに移転したい
- 初期費用を抑え、サービス開発や採用に予算を振り分けたい
- 移転前の忘年会では新しいオフィスで涙を流す社員も
- 移転後の採用では、内定辞退がゼロに
- 総額で千数百万円もの初期費用を削減
目次
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膨らむ内装費と入居時以上の退去費用。オフィス移転前に感じていた課題とは
―― オフィス選びにつながる、貴社の働き方や大切にしているお考えをお聞かせください。
山本さん:弊社が目指すビジョンやミッションをまとめたカルチャーブックには「専門家としての緻密さと、挑戦者としての大胆さを両立させる」という言葉を載せています。私たちが扱っているサービスは従来の会計事務所が担ってきた専門的な業務であり、正確さや丁寧さが求められる一方で、非連続な成長が求められるスタートアップ企業として大胆なチャレンジをしていかねばなりません。これはオフィスにおいても同じで、専門家として正確で丁寧な仕事ができるように整った環境にしつつ、必要になればハードワークもできる環境を意識しています。
―― 2025年1月に現在のセットアップオフィスへ移転されるまでは、どのようなオフィス環境だったのでしょうか。
山本さん:社員数の増加とともにより広いオフィスへと移転してきまして、今回のセットアップオフィスが通算で3拠点目です。最初のオフィスは麹町にあり、社員数12名に対して30平米ほどの広さのスケルトンオフィスでした。家賃が安いことを魅力に感じて選んだ物件だったものの、最初のオフィスだったために内装にはこだわりまして、内装工事だけで500万弱もかけてしまい……。3ヶ月の工事期間中は当然オフィスで仕事はできず、家賃を払うだけになっていたことも当時は大きな負担でした。
さらに見落としていたのが退去費用です。退去時は自分たちが施した内装を撤去するだけでなく、以前と同じ壁材やカーペットに戻すといった原状回復まで必要になるため、内装工事よりも費用がかかってしまうことを当時は知らず、1,000万円近い見積もりに衝撃をうけました。そこから物件のオーナーさんと交渉し、次に入居する企業を自分たちで見つけてくることを条件に居抜き物件として原状回復工事をせず退去することができました。
次に移転したのが、小伝馬町にあるおよそ100平米のオフィスです。こちらもサンフロンティア不動産さんの物件でした。坪単価の安さと通勤しやすさの観点から複数路線の駅からアクセスが良い場所を選びました。また、前回の反省を受けて初期費用と退去費用を抑えられることを重視していたと記憶しています。

会社としてのステップアップを社内に伝え、増える社員数に対応するため、オフィス移転を決断
―― どのような背景からオフィスを移転されることになったのでしょうか。
山本さん:2024年8月にシリーズAで総額2.8億円の資金調達を実施したことをきっかけに、スタートアップ企業として次のフェーズへ進んだことを社員に感じてもらい、「顧客満足度日本No.1の会計事務所」を目指していくためです。起業家にとって資金調達は大きなイベントですが、一方の社員目線ではいまいち何が変わるのかよく実感できないと思います。そこでより広いオフィスに移転することで、「会社として新しい章に進んだんだ」と今後さらに事業を拡大していくことを体感してもらえればと考えました。
もうひとつ、現実的な背景として社員の増加で以前のオフィスではスペースが足りなくなっていたことが挙げられます。平均して毎月2名ほどが入社するペースで社員が増えており、以前のオフィスから移転する頃にはデスクの不足が原因で、入社時期を調整する必要があるほどでした。社員を増やすことができないと、事業の成長にブレーキをかけてしまいます。
オフィスが手狭になっていたことは、メンバーの心理的にもストレスにつながっていました。弊社の社員は半数が会計事務所業務を担っており、デスク業務が中心です。エンジニア職であれば在宅勤務が可能ですが、お客さまの大事な会計情報を扱う以上、セキュリティ対策が施されたオフィスで業務にあたらなければなりません。社員数が増えるにつれてお手洗いが混んだり、酸素が薄いように感じたり、大事な商談を行なうテレカンブースが足りなくなったりと、さまざまな課題が発生するようになっていたのです。
社員の心理的安全性を確保する観点でもオフィス移転は急務であり、役員陣から「事業計画上、これだけの数字を出せているので移転は可能だ」「広いオフィスにふさわしい数字を自分たちで作っていこう」との力強い説得もあり、小伝馬町のオフィスの約3倍である300平米規模のオフィスへの移転を決断しました。

初期費用を最小限に抑えられ、退去しやすいことがセットアップオフィスの決め手に
―― オフィスの移転にあたって、なぜセットアップオフィスを選ばれたのでしょうか。
山本さん:オフィス移転時の負担となる、スポットの初期費用を削減できることが大きな理由です。自分たちで内装する場合、オフィスを契約してから内装設計が始まり、必要な資材を見積もり、資材が届いてからようやく工事が始まります。昨今の資材や人件費の高騰もあり、費用は高くつくでしょう。麹町のオフィスでの苦い経験から、最終的にいくらかかるか読めないスケルトンオフィスは避けるべきだと判断しました。
スタートアップ企業ならではの背景として、事業が急に伸びたり、あるいは急に縮小したりと変化が激しいため、退去しやすいことが重要な要素でした。実際に小伝馬町のオフィスには2年ほどしか入居しておらず、入居当時に考えていたよりも早く移転することになっています。
―― セットアップオフィスへの移転にあたって、弊社にお声がけいただいた理由を教えてください。
山本さん:資金調達のタイミングで、数社の不動産会社さんや管理会社さんからお声がけいただきました。紹介いただける物件ももちろん大事な要素ですが、私が当時大切にしたのは担当者の方のスタートアップ企業に対する理解や、私たちの事業を応援していただけるかどうかです。将来の不確実性が高いスタートアップ企業に対して、資金調達で調子が良いときだけ付き合って終わりではなく、将来を見据えた現実的なオフィスをご提案いただき、その後もお付き合いしたくなるような企業を選定した結果、サンフロンティア不動産さんが手掛けるセットアップオフィスに入居することを決めました。
サンフロンティア不動産さんはベンチャーキャピタルともお付き合いがあることからスタートアップ企業に対しての理解が深く、弊社の移転についても親身にご相談に乗っていただけました。特に印象に残っているのが、担当の谷川さんにさまざまな「立場」からアドバイスをいただいたことです。「サンフロンティア不動産としては〇〇がおすすめですが、ひとりの友人の立場からは〜〜の方がよいと思います」と、裏表なく率直なご意見をいただくことができ、安心してご相談できました。

たった1営業日の引越しで移転完了。オフィス移転のリアルなアドバイスで移転トラブルも回避
―― グランファースト神田紺屋町を選ばれた理由を教えてください。
山本さん:オフィスの選定から実際の引っ越しまでは最短でも半年はかかると見込んでいたので、資金調達とほぼ同じタイミングでオフィス選びを進めました。オフィス選びで重視していたのは、ひとつ前のオフィスと同じく社員が住んでいる場所からのアクセスです。特に社歴が長い社員は以前のオフィスを基準に住居を選んでいるため、以前と同じ路線からアクセスできることを基準にしています。
最終的なオフィス選定の決め手は、オフィスの広さと賃料、つまり坪単価のバランスです。サンフロンティア不動産さんの物件はどこもきれいな内装でしたので、そこに大きな差を感じていませんでした。経営会議でグランファースト神田紺屋町への移転を決定し、そこから2ヶ月後に引っ越しを完了しています。
―― セットアップオフィスへの引越しはどのように進みましたか。
山本さん:引越し作業でオフィス業務を止めたのは1営業日だけです。引っ越し直前の金曜日に2時間ほどで荷造りを行い、日曜日に引越し業者がオフィス用品を回収し、月曜日に梱包をほどき、火曜日からは通常営業に戻っています。想定していたよりも短く、また引越し費用も最低限に抑えられました。
オフィス移転自体はそこまで大変ではなかったのですが、唯一苦労したのがインターネット回線ですね。インターネット回線を工事していただける業者がまったく手配できず、やっと見つけたと思っても3ヶ月も待つことになりました。こまめにスケジュールのリマインドを入れていなければ、もっと時間がかかったかもしれません。スタートアップ企業にとってインターネット回線は文字通りライフラインですので、セットアップオフィスにかかわらずオフィス移転を検討しているスタートアップ企業の経営者は早めに手配しておくべきです。こうしたリアルなアドバイスをいただけたことも、サンフロンティア不動産さんとお取り組みしてよかったと思えたポイントです。

総額で千数百万もの初期費用を削減。求職者や社員からも高い評価が
―― セットアップオフィスへの移転で、どのような成果が得られましたか。
山本さん:スポットの初期費用を削減するという目的は、狙い通り達成できたと思います。300平米の規模のオフィスであれば、内装費だけでも1,000万円を超えてしまうでしょうし、内装工事中の家賃も数百万円はかかってしまいます。これらの費用を削減できたことに加え、デスクやオフィスチェアといった什器も増えた社員分しか購入していません。セットアップオフィスの契約や家賃以外で移転にかかったのは引越し代くらいのものです。
浮いた予算は事業成長に資すると判断されたもの、つまりサービス開発費や採用費に投じています。さらに新しいオフィスへの移転は、社員の採用にも好影響を与えています。まだ移転から2ヶ月ほどですが、新しいオフィスで面談をし、弊社からオファーを出した求職者から内定を辞退されてしまったことはありません。以前のオフィスでは求職者の方から「ギュウギュウのオフィスですね」と率直な感想をいただいたこともありましたが、新しいオフィスでは誰をお呼びしても「きれいなオフィスですね」と嬉しいお言葉をいただけます。
―― 社員の皆さんからはどのような反応が得られていますか。
山本さん:正式に移転する前の12月末、机も椅子もない状態のオフィスで忘年会を開催しました。社員から「移転する前にしかできないことを」との意見があったので、家族を連れてきてよいことにし、射的コーナーやペットボトルキャップで野球などのちょっとしたイベントを企画したのです。空っぽの広いオフィス中を社員の子どもたちが走り回る様子を見て、社歴の長い社員は特に感慨深そうで、泣いている人も数名いました。
最初に入居したオフィスが30平米、新しいオフィスが300平米と「ちょうど10倍の規模になったのだなぁ」「何人もの社員と家族の生活の役に立っているのだなぁ」と、そこで初めて会社の成長を肌で感じたことを覚えています。

士業向けの専門的な勉強会を開催していき、日本一の会計事務所を目指したい
―― 新しいオフィスにおける、今後の展望をお聞かせください。
山本さん:執務室とは別に20名規模を収容できる収容スペースがあり、勉強会やセミナーですでに活用しています。オフィスがある神田という場所は、士業の事務所が他のオフィス街よりも多い場所だと思いますので、今後は士業向けの専門的な勉強会なども開催していく予定です。採用目的だけでなく、士業の業界で連携したい人や企業と、新しいコラボレーションが生まれるコミュニティースペースにしていきたいですね。
長期的には「顧客満足度日本No.1の会計事務所」を目指していくために社員の働きやすさを大事にし、「専門家としての緻密さと、挑戦者としての大胆さを両立させる」ためのオフィス環境作りに取り組んでいきたいと思います。
―― 最後にオフィス移転に悩んでいるスタートアップ企業の担当者へ、メッセージをお願いします。
山本さん:来客された方々から「新築ですか?」とよく聞かれるほど、サンフロンティア不動産さんのセットアップオフィスはきれいだと思います。坪単価に対するオフィスのパフォーマンスが高く、周囲からの評価も上々です。
そしてなにより、スタートアップ企業にとってのセットアップオフィスの魅力は、オフィス移転の初期費用を抑えられることです。そのうえで大事なのは、仲介を挟むのではなく、直接サンフロンティア不動産さんに相談することではないでしょうか。
―― ありがとうございました。
