初期費用を抑え、社員の創作意欲を引き出すためにセットアップオフィスを選定。ポイントは「感度の高さ」

広告やコンテンツ・IPといったクリエイティブ創作を手掛ける同社がセットアップオフィスを選んだ理由、セットアップオフィスへの移転で得られた成果、そして今後のオフィス選びで重要な視点について、同社代表取締役CEOの榊優介さんにお話を伺いました。
- 社名:株式会社ENTER
- ウェブサイト:https://entertokyo.com/
- 設立:2022年1月
- 資本金:5百万円
- 事業内容:広告・宣伝に関する企画制作など
- 住所:〒160-0008 東京都新宿区四谷三栄町1番1号 NOVEL WORK Yotsuya 6階
- お話を伺った方:代表取締役 CEO 榊優介さん
- 間借りオフィスでは、周囲の雑音や飛び込み対応で集中を妨げられていた
- スケルトン物件の場合、内装・退去費用が高額で、移転における初期投資が大きな負担に
- 一般的な不動産会社では、空間設計の思想やスピード感が自社には合わなかった
- セットアップ型オフィスの活用で初期費用を抑えつつ短期間で移転と業務再開が実現した
- 創作活動を支える快適な空間と通信環境が整い、社員の働き方の向上に貢献
- 自社の成長や事業展開にあわせた柔軟な働き方を支えるオフィス環境を実現した
目次
目次
柔軟な働き方と社内の楽しさが両立したオフィス環境を求めていた
―― オフィス選びにつながる、貴社の働き方や大切にしている考えをお聞かせください。
榊さん:私たちは「メディアを通じて世界に響く感動とファン創出を実現する」という企業理念のもと、エンタメ領域を軸にメディアやITを組み合わせた事業展開を進めています。2025年5月現在の社員数は9名で、半分がクリエイターやプログラマー、他が営業とバックオフィスです。
働き方はとても柔軟で出社日数を定めておらず、在宅と出社の裁量は社員自身に任せています。制作に集中したいときはフルリモートで作業したり、気分転換でいつもとは違う場所で働いたりと、自由な発想を重視するクリエイターたちが快適に働けるように働き方の柔軟性を重視しています。
もちろん自社オフィスの働きやすさや成長も大事にしているポイントです。クリエイティブな作業に集中できるように社内ではうすくBGMを流しており、さらに自己学習を支援する制度などもあります。さらに月に1回程度、マーダーミステリーや人狼ゲームなどのレクリエーションも開催していまして、自然と社員同士が交流できる機会を設けています。お客さまにエンターテインメントを届ける会社だからこそ、まずは社内に「楽しさ」があることを大切にしているのです。
―― 現在のオフィスに入居される以前は、どのようなオフィス環境だったのでしょうか。
榊さん:もともとは親会社であるマルハン東日本カンパニーのオフィスがある丸の内の大きなビルの中に数ヶ月ほど入居していました。アクセスや立地は申し分なかったのですが、子会社と親会社、各部署間を分ける垣根がまったくなかったのです。クリエイティブの企画をしているすぐ隣で不動産や店舗開発に関する打ち合わせが行われており、かなりのノイズがある環境で集中が難しかったのです。またグループ会社の社員からアポ無しでフラッと相談され、そこから打ち合わせが始まってしまうこともあり、自分たちの作業に没頭しにくい状況が続きました。
そこでよりクリエイティブに集中できる場所を求め、オフィスの独立を即決しました。親会社からの制約も一切なく、私自身で判断しています。

オフィスという「ツール」で、社員の生産性や発想力を高めること。移転先も四谷を選んだワケ
―― 現在のセットアップオフィス以前に入居されていた『A YOTSUYA』についてお聞かせください。
榊さん:YouTubeで施設の紹介映像や施設が掲載されたアパレル雑誌の動画を見て、洗練されたデザインや先進的な雰囲気に惹かれて入居を決断したオフィスでした。実際に入居してみると区画の自由度やイベントスペースの併設など、刺激を受けながら働ける仕掛けが多く、社員のモチベーション向上にもつながり、自社のクリエイティブ業務に適した環境であると感じました。
各部屋にアート作品があるだけでなく、コミュニティ全体には細かくルールがいくつも設定されていました。それは空間が持つ創造性の効果を最大化するためであり、オフィスという「ツール」で生産性や発想力を高めるという思想に基づくもので、私自身とても共感していました。
ただ残念ながら2024年10月をもって『A YOTSUYA』の運営が終了してしまったため、すぐに新しい拠点を探すことになりました。
―― 移転先のオフィスはどのように検討されたのでしょうか。
榊さん:以前のオフィスに入居する前は数回しか四谷を訪れたことはなかったのですが、実際に四谷にオフィスをおいてみると街の快適さが感じられました。行きつけの飲食店ができましたし、近くの大学の教授や学生の方、官公庁で働かれている方が多く、イメージしていたよりも紳士的で落ち着いた良い街だと思います。
そのため、移転先のオフィスも四谷がよいなと考えていたところ、サンフロンティア不動産の担当の方からベストなタイミングで「『A YOTSUYA』の近くに別のセットアップオフィスがあります」とご案内いただけました。
実際に足を運んでみると、『A YOTSUYA』を選んだ理由と同じように内装やクリエイティブな意図を感じる空間だったことから、「ここしかない」と即決しました。社員数も5名から9名に増えていたタイミングで、広さも環境も理にかなっていたのです。

空間設計と迅速な対応が移転先決定の決め手に。セットアップ型が選ばれた理由とメリット
―― オフィスの移転にあたって、他社の不動産会社さんにはご相談されなかったのでしょうか。
榊さん:実は比較していません。物件情報はいくつか閲覧こそしましたが、やはり一般的な不動産会社さんは物件を紹介して終わり、という印象が強かったのです。しかしサンフロンティア不動産さんの手がける空間は、ただの箱ではなく「オフィスに来るだけで刺激される」ことを大切にされていると感じていました。
また、対応のスピード感も評価したポイントです。『A YOTSUYA』がフレキシブルオフィスとしての運営に一区切りつく予定だと聞いたその日のうちに候補物件をご紹介いただけました。おかげですぐに別のオフィスをいくつか見学でき、移転先も即決することができています。
―― 移転先もセットアップオフィスという形態を選んだ理由を教えてください。
榊さん:家具や設備が整っているので、イニシャルコストもランニングコストも抑えられますし、将来的な退去時にも手間が少ないことが大きなメリットです。以前と同じく四谷のオフィスを選んだこともあり、移転はわずか2時間で完了し、引っ越し業者も不要でした。その時間で動画を1本でも制作できると思うと、非常に「タイパ」が良い選択でしたね。
また契約面も特に条件を設けず、一般的な2年更新で進めましたが、家賃も想定より高くなかったのでコスト面も非常に魅力的でした。
―― 『NOVEL WORK Yotsuya』で気に入っているポイントを教えてください。
榊さん:広々としたテラスが魅力ですね。アイデアが煮詰まった時に外に出て話せるスペースがあることで、自然と社員同士の距離が縮まります。また、空間のデザインや色使い、配色がミッドセンチュリーを意識しながらもモダンで、エントランスから会議室に至るまでホテルのような上質感があり、ワクワクできる環境になっています。
また、通信環境がとても快適なのも高評価です。動画を多く扱う弊社にとって、動画のアップロード時間が短くなることは生産性に直結するため、インターネット回線の速度が早ければ早いほどありがたいのです。もちろん、入居時にインターネット回線に関するトラブルもありませんでした。その他にもビルの管理では、トラブルになりやすいごみの取り扱いなども含め、入居者同士がトラブルにならないよう、適切なアナウンスをしていただいています。

スケルトンなら想定600万はかかる初期費用を、セットアップオフィスでほぼゼロに抑えられた
―― セットアップオフィスへの移転で、どのような成果が得られましたか。
榊さん:スケルトン状態のオフィスに移転する場合、引っ越し費用に約50万円、内装費用に300万円程度、さらに退去時の原状回復に200万円以上はかかると想定しています。つまり合計で500万〜600万円が必要になるケースもありますが、今回のセットアップオフィスではそれらの費用が一切発生せず、ほぼゼロに抑えることができました。
エアコンや家具はすべて備え付けで、購入したのは業務に必要な撮影機材程度です。さらに仲介会社を通していないため、仲介手数料は発生しておらず、初期費用を大幅に圧縮できました。
―― 『NOVEL WORK Yotsuya』に対する現在の評価をお聞かせください。
榊さん:たとえば外資系の大手IT企業のオフィスを訪れると、空間そのものに「感度の高さ」を感じます。内装のトーンや家具の質、椅子の座り心地、テーブルのサイズ感や配置、集中ブースの有無など、すべてがデザインと機能のバランスの中で計算されているのです。さらにデザインやレイアウトだけでなく、働く人の創造性や集中力を引き出すための工夫が細部にまで行き届いています。こうした「感度の高い」オフィスは、一定以上の経営体力がある大手企業でなければ難しいものです。
しかし、サンフロンティア不動産さんが手掛けた『NOVEL WORK Yotsuya』は、ディテールへのこだわりが他社とは一線を隠しています。たとえば集中ブースは、サンフロンティア不動産さんが独自開発されたもので、単なる間仕切りではなく、使う人の快適性まで考え抜かれていると感じます。こうしたディテールへのこだわりが、他社とは一線を画す「感度の高さ」であり、まだまだ小規模である弊社で働く社員も高く評価しています。

自社コンテンツとIPの創出へ挑戦。オフィスに求められる「自己実現の場所」としての役割
―― 今後の事業展開について教えてください。
榊さん:これまで収益の柱だった広告や動画制作の事業領域は安定してきたので、次は自社発信のコンテンツやIP開発に注力していきたいと考えています。これまではインフルエンサーやタレントと連携していましたが、今後は発信力を持つコンテンツや人物自体を自社で創出していく方向に舵を切っていきます。
―― オフィスの働き方にはどのように変化していきますか。
榊さん:スケジュールや予算、求められるクオリティが決められているクライアントワークとは違い、自社で創り上げていくコンテンツやIPに「ゴール」はありません。あくまで個人の裁量に任せた上で、とことんこだわって創作活動に打ち込めるようなオフィス環境を実現していきたいと思います。
また、コロナ禍後に国内外ではさまざまなイベントが開催されるようになり、弊社も土日に出勤することは珍しくありません。そうした働き方にあわせた柔軟さと、創作意欲を刺激するために、しっかりオフィスという道具を活用していきたいですね。
―― 最後にオフィス移転に悩んでいる企業の担当者へ、メッセージをお願いします。
榊さん:最近では「出世」よりも「自分にとって意味ある環境で働きたい」という価値観が主流になりつつあると思います。ただ働きやすい環境を整えてあげるのではなく、オフィスを「自己実現の場」として提供することが、今後の人材戦略では重要になるのではないでしょうか。そうした意味でセットアップオフィスは賢い選択だと私は考えています。
―― ありがとうございました。
