スタートアップの信用力を高める理想のオフィス選び。費用と手間を抑え、事業に集中できる環境を実現

BtoBサービスを展開し、企業として信頼性が求められるスタートアップ企業ならではの視点からセットアップオフィスを選ばれた理由や背景の課題、オフィス選びのポイント、そして理想のオフィス環境について、同社代表取締役社長の濱口優太郎さんにお話を伺いました。
- 社名:株式会社Tabiji Partners
- ウェブサイト:https://tabipa-ma.com/
- 設立:2023年10月
- 資本金:7,013,200円(資本準備金を含む)
- 事業内容:M&A仲介・コンサルタント事業/民泊運営事業
- 住所:〒 105-0012 東京都港区芝大門1-2-8 NOVEL WORK Shibadaimon 6F
- お話を伺った方:代表取締役社長 濱口優太郎さん
- 物理的なスペースが不足し、人員増強に対応できる環境ではなかった
- 会議室が不足しており、取引先からの信頼性や業務効率の低下に課題があった
- 情報セキュリティに不安があり、管理体制に限界を感じていた
- 入社判断の後押しに寄与し、人員の増強を加速できた
- 立地や社内のデザインが顧客からの信頼を高めた
- 内装や清掃など、初期費用も抑えた効率的な移転を実現した
目次
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対面を重視する働き方が実現した事業スピードと急成長。次なる成長のため、オフィス移転へ
―― オフィス選びにつながる、貴社の働き方や大切にしている考えをお聞かせください。
濱口さん:弊社の正社員は全員、毎日出社しています。2025年6月現在の社員数は4名で、役員を含めると合計6名の体制です。業務委託の方は13名ほど在籍しており、業務上の必要に応じてオフィスに出社いただいています。
一時期、オンライン勤務やフルリモート体制も試行錯誤していたのですが、業務のスピード感や連携の課題がどうしても解決しきれなかったのです。創業からまだ日が浅い弊社にとって、やはり顔を合わせて仕事に取り組むことで業務も意思決定も早くなり、クオリティも上がると感じています。そのため、採用の段階から「出社でも問題ない方」に限定しています。
―― 現在のオフィスに入居される以前は、どのようなオフィス環境だったのでしょうか。
濱口さん:独立したばかりの頃は、サンフロンティア不動産株式会社さんが共同運営されているスタートアップ向けシェアオフィスの『Hive Shibuya ※』に入居していました。当時は共同創業者の菊地と私の2名体制だったため、2席分のスペースからスタートしています。『Hive Shibuya』は家賃が非常にリーズナブルで、なにより周囲に同世代や少し先を行く起業家の仲間が多く、刺激を受ける環境でしたね。
そこから『Hive Shibuya』の卒業、つまりオフィス移転を考え始めたのが、事業が軌道に乗り始めたころです。弊社のメインとなる事業モデルは、コンサルタントによる民泊事業のM&A仲介やコンサルタント事業であるため、事業を拡大するためにはまず社員を増やさねばなりません。弊社に出資いただいたEast Venturesさんにも相談し、オフィス移転を進めることになりました。
『Hive Shibuya』は、Zホールディングス株式会社のコーポレートベンチャーキャピタルである Z Venture Capitalと、日本及び東南アジアで最大級のシード期ベンチャーキャピタルである East Ventures、そしてサンフロンティア不動産株式会社が共同運営するスタートアップ向けシェアオフィス。今後、日本を代表するスタートアップを生み出し、スタートアップの聖地となることを目指している。

採用強化とオフィス整備がセット。会議室やセキュリティ対策の課題を解決するために
―― シェアオフィスで働かれていた頃は、どのような課題があったのでしょうか。
濱口さん:大きく3つの悩みがありました。まず、物理的な働きやすさの問題です。以前入居していたシェアオフィスではすぐ隣の席が他社の社員で埋まっており、簡単には増やせなかったのです。当時はM&A仲介事業が急拡大しており、コンサルタント1人あたり約25件の案件を抱えている状況でした。人手が明らかに足りていなかったため、売上げの成長と同時に人的リソースの強化が急務であり、採用とオフィス環境の整備をセットで進める必要がありました。
2つ目の悩みが、会議室の問題です。シェアオフィスの会議室は入居している企業で共有しているために事前予約制で、希望の時間は埋まっていることも。打ち合わせでは基本的に、売り主様・買い主様・弊社コンサルタントの3者のうち、1対1または3者で行うものが多く、大型案件になると金額が1億円近くになることもあり、会話の内容も非常にセンシティブです。
そのため、より重要度の高いお打ち合わせは『Hive Shibuya』の会議室ではなく、東京駅近くのホテル会議室や高層ビル内の貸しスペースを毎回手配していましたのですが、コストも手間もかかり、何よりも「信頼に値する空間で商談を行う」ことが難しかったのです。そのため、照明や備品、内装がしっかり設計されていて、信頼感がある会議室付きオフィスに移ることは、事業成長に欠かせないと判断したのです。
3つ目の課題が、セキュリティ面です。民泊物件のM&A仲介業では、契約書類のほかにも保証会社の診断書や賃貸契約書、旅館業の許可証など、お客さま情報が記載された重要な書類の取り扱いがあり、セキュリティ対策は必須です。シェアオフィスではデスク下に金庫を設置し、そこに重要な書類を保管するといった対応しかできず、セキュリティ対策と管理体制に限界を感じていたのです。情報管理における信頼性の向上は、お客さまとの長期的な関係性を築く上で欠かすことができない要素だと考えています。
―― 2025年2月中のオフィス移転を目指していた背景についてお聞かせください。
濱口さん:弊社の社員4名は全員私の同級生で、いわゆる新卒世代なのです。そのため、入社には内定先を辞退してもらうことになり、なんとしても入社シーズンの4月までにはしっかりしたオフィス環境を整えたいと考えていました。また、私自身も4月までには新しいオフィスに近い場所へ引っ越しをしたいと考えており、スピード感をもってオフィス移転を完了させることになったのです。

ポイントはスピード感と初期費用を抑えること。スタートアップ企業によるオフィス選びの判断軸
―― オフィス移転のパートナーとして、サンフロンティア不動産を選んだ理由をお聞かせください。
濱口さん:『Hive Shibuya』の運営でお世話になっていたこともあり、East Venturesさんにご紹介いただく形でサンフロンティア不動産さんにご相談させていただきました。実際にやり取りが始まってからは、レスポンスの早さと提案力の高さにとても驚きましたね。
Messengerでのやり取りはスピード感があり、また内見時にはタクシー移動の手配までしていただき、とても効率的でした。また、初期費用においても礼金や仲介手数料が不要な点は、設立間もないスタートアップにとっては大きなメリットです。その他にオフィスの清掃業務についても、入居時に委託事業者をご紹介いただき、ゴミ出しのルールや清掃対応について丁寧にレクチャーいただけて、とても好印象でした。
―― セットアップオフィスへの移転は、どのような理由から決めたのでしょうか。
濱口さん:最大の理由は、内装に一切の手間がかからない点です。オフィスの立ち上げやレイアウト設計は、事業の売上には直結しないため、極力リソースを割きたくありませんでした。
セットアップオフィスであれば、すでにお洒落な内装が整っており、すぐにでも業務に集中できるのが魅力です。セキュリティも三重ロック構造で、オートロック・セコムのカードキー・フロアアクセスと万全な体制が整っており、M&Aに関する機密性の高い打ち合わせにも適しています。また、清掃もサービスとして含まれているため、自分たちで事業者を選定する手間がない点も高評価です。
―― どのような条件で比較検討を行い、現在のオフィスに決定されたのでしょうか。
濱口さん:サンフロンティア不動産の担当者さんにご紹介をいただいたのは20件ほどで、条件としては「セットアップオフィス」「駅から徒歩圏内」「予算80万円以下」「16席程度の収容力」といった点を重視しました。立地としては、スタートアップの聖地である渋谷よりも、金融寄りのBtoB事業としてお客さまに信頼感を与えやすい港区や中央区、千代田区を中心に選んでいます。
最終的に内装が「シンプル」「シック」「清潔感がある」ことを軸に4件まで絞り込み、ビジネスユースに最も適したNOVEL WORK Shibadaimonを選びました。

最小限の労力で、かつ業務を止めずにオフィス移転を実現。プロによる施工と清掃に安心感
―― 物件の決定から実際の引っ越しまでの期間や準備についてお聞かせください。
濱口さん:物件を決めてから入居まではおよそ1ヶ月ほどありましたが、『Hive Shibuya』にあった備品は多くなかったため、引っ越し作業は1日で完了しています。実際に運び入れたのはモニターやパソコン、金庫などだけで、家具類はすでに整っていましたので、内装工事などに時間を取られることはなく、すぐに通常業務に移行できたのは助かりました。
エントランスに設置したロゴは入居後の施工でしたが、こちらもサンフロンティア不動産さんから紹介いただいた施工会社さんに依頼しています。ライト付きの壁にシールを貼るだけという簡単な方法だったこともあり、2万円程度の費用に抑えられました。
―― NOVEL WORK Shibadaimonに入居しての第一印象はいかがでしたか。
濱口さん:まさに「自分の城ができた」という感覚でした。以前の『Hive Shibuya』と比較すると、オフィス内の静かさや新築ゆえの清潔感、そして豊富な収納スペースなど、現在のオフィスの方が圧倒的に働きやすいと感じています。今は業務で必要な書類や備品、水やコーヒーなどもストックしておける棚があり、とても快適に“スタートアップらしく”熱量の高い働き方もできています。
―― サンフロンティア不動産からのサポートについて、どのような点を評価いただいていますか。
濱口さん:移転前後の支援で特に助かったのは、施工会社や清掃会社などの紹介でした。施工会社さんに関しては、実際にデザインされたホテルの事例なども伺えて、自分たちの民泊ビジネスにつながるような情報を得ることができたのが印象的です。また、清掃会社さんも含め、入居前にゴミ出しのルールや清掃対応などの説明を丁寧にいただき、不安なくスタートを切れました。全体を通じてサンフロンティアさんの対応は非常にスピーディかつ的確で、スタートアップにとって非常に頼りになるパートナーだと感じています。

採用強化、信頼性の向上、コストの最適化。オフィス移転がもたらした3つの成果
―― セットアップオフィスへの移転で、どのような成果が得られましたか。
濱口さん:明確に感じているのは大きく3つです。まず1つ目は採用が明らかに楽になったこと。新しいオフィスを見て「ここで働きたい」と言ってくれる学生や若手が増えました。オフィス移転当時、まだ正式に入社するかどうか迷っていたメンバーがいたのですが、新しいオフィスに招いて「ここで一緒に働かないか」と伝えたことで、入社への意思決定を後押しできたと感じています。
2つ目は売上面の変化です。明確な数値こそ計算できませんが、仕事のしやすさやお客さまとの信頼関係の構築がスムーズになったことで、結果的に売上が伸びている感覚があります。特にM&Aの買い手として、これまで接点のなかった中堅企業の方々とお打ち合わせをする際に「御社の住所と会社概要を教えてください」とよく尋ねられるのですが、港区の自社オフィスを堂々と伝えられることが、確かな信頼につながっていると実感しました。
3つ目は、オフィス移転にかかる費用を最小限に抑えられたことです。仲介手数料も礼金も不要で、契約期間も2年間、1年以内に解約する場合は違約金が発生するといった一般的でシンプルな条件でした。インターネット環境もあらかじめ整備されていたので、私たちは契約だけで済みましたし、清掃サービスもあらかじめ含まれていたので、移転にかかる追加契約はほとんどありません。こうした環境が整っていたことで、本業に集中できたのは大きな成果です。
―― オフィス移転後、既存のお客さまからの反応はいかがでしたか。
濱口さん:移転後の3ヶ月間で、20名以上のお客さまをこの会議室にお招きしていますが、皆さん口を揃えて「きれいなオフィスになりましたね」「信頼感が増しました」と仰っていただけました。特に長いお付き合いがある方々から「会社の格が上がったように感じる」との嬉しい言葉もあり、今でも強く印象に残っています。
また、会社の信用力を示す必要がある場面では、やはりコワーキングスペースよりも「自社でオフィスを構えている」ことが重視されているように感じます。直近で金融機関から数千万円ほど融資いただいたのですが、その融資の話がまとまったのもNOVEL WORK Shibadaimonに移転してからのことです。

オフィスは「会社の顔」。社員のモチベーションを引き出す、理想のオフィスを目指して
―― スタートアップ企業は、どのような観点からオフィスを選ぶべきでしょうか。
濱口さん:まずは立ち上げ期における「手間の少なさ」が重要だと思います。私たちは初めてシェアオフィスを出たのですが、セットアップオフィスだったことで内装の設計や施工を外注する必要がなく、サンフロンティアさんが紹介してくれた施工会社や清掃会社なども含めて、非常にスムーズに移転できました。
また、キャッシュが少ないスタートアップ企業にとっては初期費用や礼金を抑えることも重要です。費用を抑えつつも、しっかりとオフィスを構えることで、採用にも営業にも、そして資金調達にも好影響が望めます。
―― 将来的に目指されている、理想のオフィス像を教えてください。
濱口さん:現在のオフィスはとても快適ですが、あと1〜2年で手狭になると思っています。社員数を現在の約6名から、近い将来15名、さらに40〜50名規模まで増やしたいと考えているので、できれば東京駅周辺など、よりビジネス街の中心地に移転したいですね。
以前、M&A仲介大手の社長にお招きいただいてオフィスにお伺いしたことがあるのですが、広くてデザインも美しく、「このオフィスに来ることが楽しい」とおっしゃっていたのが印象的でした。オフィスは「会社の顔」であり、社員のモチベーションを引き出す場でもあるので、機能性と信頼感を両立しつつ、今後も妥協せずに選び続けていきたいですね。
――ありがとうございました。
