スタートアップ・ベンチャー企業が知っておくべき助成金や補助金を徹底解説
目次
スタートアップ・ベンチャー企業にとって、補助金や助成金は事業成長を加速させるために、重要な資金調達の方法です。本記事では、スタートアップが活用できる補助金と助成金をまとめています。資金調達を検討中のスタートアップ経営者や担当者の方は参考にしてみてください。
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補助金と助成金の違い
補助金と助成金は、国や自治体から支給されるお金という面では同じですが、運営主体や支給の難易度などに違いがあります。
国から支給される、主な補助金と助成金の違い
補助金 | 助成金 | |
---|---|---|
運営主体 | 経済産業省 | 厚生労働省 |
支援内容 | 技術開発や脱炭素をはじめとする地球環境関連、地域活性化 など | 雇用増加や安定、能力開発 など |
募集時期 | 募集開始から数週間程度 | 通年 |
支給の難易度 | 補助事業全体の金額に限りがあること、審査があることから難易度は高い傾向 | 要件を満たしていれば支給されるため難易度は低い傾向 |
金額 | 数千万円以上のものもあるなど金額が高い事業も多い | 少額な事業がほとんど |
表のとおり、補助金は経済産業省が運営する事業が多く、支給金額も高額な事業が多くあることから、大いに活用できる資金調達方法といえるでしょう。一方で、採択金額や件数があらかじめ決まっているケースがほとんどのため、審査に通るようしっかりと対策を講じることが大切です。
助成金は厚生労働省が運営する事業が多く、支給金額は少額ながら要件を満たせば受け取れる可能性が高いという特徴があります。
また、各補助金・助成金では支援する内容が明確に定められています。補助金や助成金を活用する際には、自社で取り組みたい事業などと合わせて補助金・助成金を選択しましょう。
スタートアップが活用できる補助金(国・外郭団体)
ここからは、スタートアップ・ベンチャーが活用できる補助金をご紹介します。
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、コロナ禍の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、新市場進出や事業・業種転換、事業再編など、思い切った事業再構築を考えている企業の挑戦を支援する補助金です。
この補助金には成長分野進出枠(通常類型・GX進出類型)、コロナ回復加速化枠(通常類型・GX進出類型)、サプライチェーン強靭化枠の3つの枠が用意されており、補助額は最大で3億円(建築費を含む場合は5億円)と高額なことから多くの企業が注目しています。
事業再構築補助金の概要
共通要件 | A:事業再構築指針に示す「事業再構築(※)」の定義に該当する事業であること※新市場進出、事業転換、業種転換、事業再編、国内回帰、地域サプライチェーン維持・強靭化のいずれかの定義に該当する事業 B:事業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること C:補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3.0~5.0%以上増加、または 従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率3.0~5.0%以上増加 |
対象事業者 | 1.成長分野進出枠 ・通常類型:ポストコロナに対応した成長分野への大胆な事業再構築に取り組む事業者や国内市場縮小など構造的な課題に直面している事業者 ・GX進出型:ポストコロナに対応したグリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取り組みをこれから行う事業者 2.コロナ回復加速化枠 ・通常類型:今なおコロナの影響を受け、コロナで抱えた債務の借り換えを行っている事業者や事業再生に取り組む事業者 ・最低賃金類型:コロナ禍が収束した今、最低賃金引き上げの影響を大きく受ける事業者 3.サプライチェーン強靭化枠 ・ポストコロナに対応した国内サプライチェーンの強靭化に資する取り組みをこれから行う事業者 |
補助率・補助上限額 | 1.成長分野進出枠 ・通常類型補助上限:3,000万円(※4,000万円)補助率:中小企業1/2(※2/3)、中堅企業1/3(※1/2) ・GX進出枠補助上限:中小企業5,000万円(※6,000万円)、中堅企業1億円(※1.5億円)補助率:中小企業1/2(※2/3)、中堅企業1/3(※1/2) ※短期に大規模賃金上げを行う場合 2.コロナ回復 加速化枠 ・通常類型補助上限:2,000万円補助率:中小企業2/3、中堅企業1/2 ・最低賃金類型補助上限:1,500万円補助率:中小企業3/4(一部2/3)、中堅企業3/2(一部1/2) 3.サプライチェーン強靭化枠 補助上限:3億円(建物費を含む場合は5億円)補助率:中小企業1/2、中堅企業1/3 |
対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費・専門家経費、広告宣伝費・販売促進費、研修費など |
参考サイト:経済産業省「事業再構築補助金第12回公募の概要」
以前の事業再構築補助金には前年比で売上高などの減少を示す必要がある「売上高等減少要件」が設けられていたため、創業したばかりのスタートアップでは活用が難しい補助金でした。
第10回の公募からは同要件が廃止された成長枠が設けられたことから、創業間もなくから大きく成長したいスタートアップでも活用が可能です。
事業再構築補助金について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:事業再構築補助金
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者を対象とした補助金で、革新的な製品・サービスの開発や、生産プロセス等の省力化による生産性向上を目的とした設備投資などを支援するものです。
ものづくり補助金の概要
基本要件 | 以下を満たす3~5年の事業計画書の策定および実行 1.付加価値額の年平均成長率+3%以上増加 2.給与支給総額の年平均成長率+1.5%以上増加 3.事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上 |
対象事業者 | 日本国内に本社および補助事業の実施場所を有し、常勤従業員数の要件を満たす事業者 |
補助率・補助上限額 | 1.省力化(オーダーメイド)枠 補助上限:750万円~1億円(賃上げ人数による)補助率:中小企業3/1、小規模・再生2/3 ※補助金額1,500万円までは1/2もしくは2/3、1,500万円を超える部分は3/1 2.製品 ・サービス高付加価値化枠 ・通常類型補助上限:750万円~2,250万円補助率:中小企業1/2、小規模 ・再生2/3、新型コロナ回復加速化特例2/3 ・成長分野進出類型補助上限:1,000万円~3,500万円補助率:2/3 3.グローバル枠 補助上限:3,000万円(3,100万円~4,000万円)補助率:中小企業1/2、小規模2/3 |
対象経費 | 共通:機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費 グローバル枠のみ:海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費 |
参考サイト:ものづくり・商業・サービス補助金事務局(全国中小企業団体中央会)「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版」
ものづくり補助金の対象事業者には、製造業だけでなくサービス業や小売業、旅館業も含まれています。
これから新たな製品やサービスの開発に着手するスタートアップ・ベンチャーも、同補助金の対象となる可能性があります。
ものづくり補助金について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:ものづくり補助金総合サイト
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDXに向けたITツールの導入を支援する補助金です。
中小企業・小規模事業者が広く活用できる補助金で、インボイスへの対応を目的とした会計ソフトなどの導入に使えるインボイス枠や、サイバー攻撃への対策のために使えるセキュリティ対策推進枠などが用意されています。
IT導入補助金の概要
要件 | 日本国内で事業を営む中小企業・小規模事業者が、IT導入補助金事務局に登録されたIT導入支援事業者とパートナーシップを組んで申請すること |
対象事業者 | 日本国内で事業を営む中小企業・小規模事業者 |
補助率・補助上限額 | 1.通常枠 補助上限:1プロセス以上の場合は150万円未満、4プロセス以上の場合は450万円以下補助率:1/2以内 2.インボイス枠 ・インボイス対応類型補上限:10万円以下または20万円以下(ハードウェア)、50万円以下または50万円超~350万円以内(インボイス対応の会計ソフト等)補助率:10万円以下または20万円以下では2/1以内、50万円以下では中小企業が3/4、小規模事業者は4/5、50万円超~350万円以下では2/3以内 ・電子取引類型補助上限:350万円補助率:中小企業2/3以内、その他の事業者等1/2以内 3.セキュリティ対策推進枠 補助上限:100万円補助率:1/2以内 4.複数社連携IT導入枠 補助上限:3,000万円補助率:対象経費によって1/2、2/3、4/5 |
対象経費 | ソフトウェア購入費やクラウド利用料、PC・タブレット等ハードウェアなど |
ものづくり補助金は国内の中小企業が対象となる補助金のため、申請のハードルは比較的低い補助金といえます。さまざまなITツールやハードウェアの導入にも活用できる補助金です。
IT導入補助金について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:IT導入補助金ポータルサイト
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、働き方改革や賃上げ、インボイス制度の導入などに対応するために、販路開拓などの取り組みにかかる経費の一部を補助するものです。
この補助金では、申請の際に経営計画の提出が必要です。
小規模事業者持続化補助金の概要
要件 | 1.法人の場合、資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%株式保有されていないこと 2.直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと 3.持続化補助金(一般型、コロナ特別対応型、低感染リスク型ビジネス枠)で採択を受けて補助事業を実施した場合、各事業の交付規程で定める様式第14「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果及び賃金引上げ等状況報告書」を、原則本補助金の申請までに受領されたものであること 4.「卒業枠」で採択され事業を実施した事業者ではないこと |
対象事業者 | 1.商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)の場合、常時使用する従業員の数が5人以下 2.宿泊業・娯楽業の場合、常時使用する従業員の数が20人以下 3.製造業その他の場合、常時使用する従業員の数が20人以下 |
補助率・補助上限額 | 1.通常枠補助上限:50万円補助率:2/3 2.賃金引上げ枠補助上限:200万円補助率:2/3(赤字事業者については3/4) 3.卒業枠、後継者支援枠、創業枠補助上限:200万円補助率:2/3※いずれの枠についても、インボイス特例の要件を満たす場合は補助上限額に50万円を上乗せ |
対象経費 | 機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、開発費、資料購入費、雑役務費、借料、設備処分費、委託・外注費 |
小規模事業者持続化補助金では、展示会への出展やウェブサイトの構築なども補助の対象です。申請に必要な経営計画の策定においては、今後の事業展開について具体的かつ詳細に考えるよい機会にもなるでしょう。
小規模事業者持続化補助金について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:小規模事業者持続化補助金
次世代ヘルステック・スタートアップ育成支援事業
次世代ヘルステック・スタートアップ育成支援事業は、ヘルステック領域にて起業を目指す方を対象とした補助金です。
本事業では、次の2つの支援が用意されています。
スタートアップ(SU)人材育成支援 | スタートアップ(SU)ヘルステック研究開発 |
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ヘルステック領域で起業を目指す研究者・研究職に対して、起業に必要な知識の教育や伴走支援コンソーシアムによる支援を実施 令和6年度:1億1000万円、令和7~8年度:1憶3500万円/年、令和9年度:年間1億1000万円(いずれも上限、間接経費含まず) | ヘルスケア産業や医療機器研究開発などにおいて、革新的な製品・サービスの開発に対する支援を実施 令和6年度採択(プログラム医療機器、医療機器、ヘルスケア):年間1500万円~3300万円/年(上限、間接経費含まず) |
本事業では、支援対象となる課題あたりの補助額が大きく、採択される課題も少ないという特徴があります。そのため、採択へのハードルが高いことが予想されます。
本事業について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:次世代ヘルステック・スタートアップ育成支援事業
地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業
地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業は、各地方の特性を生かした技術開発・実証を行うことで、地域の活性化と脱炭素社会の達成を後押しするための補助金です。
この補助金には、「地域共創・セクター横断型テーマ枠」「ボトムアップ型分野別技術開発・実証枠」「アワード型イノベーション発掘・社会実装加速化枠」「スタートアップ企業に対する事業促進支援(スタートアップ枠)」の4つの枠があります。
スタートアップ枠では、2030年温室効果ガス削減目標達成に向け、エネルギー起源CO2排出削減のための新たなアイデアや技術について、幅広く支援されます。
過去には、脱炭素社会実現のための新型バルーン風力発電のFS事業や、ヒートポンプ蓄熱蓄電技術の要素開発技術開発・コスト低減研究事業などが採択されています。
本事業について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU)、GX分野のディープテック・スタートアップに対する実用化研究開発・量産化実証支援事業(GX)
この事業は、世界全体で対処すべき経済社会課題(カーボンニュートラル、資源循環、経済安全保障等)の解決に資すると考えられる、革新的な技術の開発に取り組むスタートアップを支援するものです。
経済社会課題を解決する技術を生み出すためには、長期にわたる研究開発と多くの資金を要します。そのため、この助成は事業期間が長く予算も多いという特徴があります。
DTSUについては事業期間が2023年度から2034年度で予算額930億円(事業期間総額)、GXの事業期間は2024年度から2032年度までです。2024年度のGXは、予算額が410億円の内数(200~300億円)。本事業では「STS フェーズ(実用化研究開発(前期)」「PCA フェーズ(実用化研究開発(後期)」「DMP フェーズ(量産化実証)」の3つのフェーズで支援が行われ、各フェーズでの事業実施後のステージゲート審査を通過した場合には次のフェーズに進めます。
本事業について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU)、GX分野のディープテック・スタートアップに対する実用化研究開発・量産化実証支援事業(GX)
ディープテック・スタートアップ支援基金/国際共同研究開発
本事業は、技術の確立や事業化・社会実装までに長期間の研究開発と大規模な資金を要する、経済社会課題の解決に資する研究開発に取り組むスタートアップを対象とした助成事業です。
この事業では、特に海外市場への展開を目的として海外の事業者との共同研究開発を希望しているスタートアップを対象としています。また、対象国はカナダ、フランス、オランダ、オーストリア、フィンランド、シンガポール、イギリスに限られています。
支援の対象となる研究は量子、AI、ロボティクス、半導体、電子機器、エネルギー・環境、バイオテクノロジー、新素材、医療機器、航空宇宙等の鉱工業技術に関するものです。
事業期間は2023年度~2031年度、予算額は20億円(事業期間総額)です。
本事業について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
研究開発型スタートアップの起業・経営人材確保等支援事業/ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業(NEP)/躍進コース
この事業では、「躍進500・3000」「躍進カーブアウトA・カーブアウトB」の2タイプの支援があります。
「躍進500・3000」は、ディープテック分野で具体的な技術シーズを活用したビジネスモデルを持っており、事業化可能性の調査や事業化の促進に向けた研究開発、実証などを行う法人を対象としています。
「躍進カーブアウトA・カーブアウトB」は、上記活動のカーブアウト(子会社や事業の一部を切り離し、独立させる経営戦略のこと)を想定している個人やチーム、またはカーブアウト後の法人が対象です。
本事業について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:「研究開発型スタートアップの起業・経営人材確保等支援事業/ディープテック分野での人材発掘・起業家育成事業(NEP)/躍進コース」に係る公募について
新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業
この事業では、再生可能エネルギー分野での研究開発に対して助成が行われます。支援には「新エネ中小・スタートアップ支援制度」と「未来型新エネ実証制度」の2つの制度があります。
「新エネ中小・スタートアップ支援制度」では、研究開発や事業化計画の進捗状況に応じて、5つのフェーズで助成されます。この制度では、継続的に支援するために、次のフェーズへの移行の可否を判断するステージゲート審査が行われます。ステージゲート審査を通過することで、次フェーズの支援を受けられる仕組みです。
「未来型新エネ実証制度」では、発電コストの低減や長期安定電源化などにおける課題解決に向けた実証事業に対して支援されます。
本事業について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
環境保全研究費補助金(イノベーション創出のための環境スタートアップ研究開発支援事業)
この事業では、環境分野のスタートアップ企業および企業を目指す個人を対象とした助成金です。環境スタートアップ企業のロールモデルの創出やビジネスの創出の促進などを目的としています。
助成の対象となる事業には「フェーズ1(F/S・PoC)支援事業」「フェーズ2(R&D)支援事業」があり、前者は事業の採算性調査や懸念実証などを、後者では事業化に必要な実用化研究などが助成の対象です。
気候変動、生物多様性、資源循環に関する事業などを行う企業がこれまで採択されています。
本事業について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
スタートアップが活用できる補助金(自治体)
ここからは、スタートアップが活用できる各自治体が実施する補助金について、いくつかピックアップしてご紹介します。
東京都臨海副都心DX推進事業(東京)
この補助事業は、臨海副都心全体のブランド価値向上を目的としたものです。補助の対象となるのは、「デジタルテクノロジーの実装」や「新たな魅力を付加したにぎわいの創出」、「スタートアップの集積」に資する事業を行う企業です。
東京都臨海副都心DX推進事業の概要
事業 | 補助上限額 | 対象経費 |
---|---|---|
デジタルテクノロジーの実装に関する事業 | 1件あたり5,000万円 | 委託料、工事費、設計費、備品購入費(1件あたり10万円以上) |
新たな魅力を付加したにぎわいの創出に関する事業 | デジタルテクノロジーの実装に関する事業と合わせて5,000万円を上限とし、補助対象経費合計の3分の1以内 | 委託料、一般需用費(消耗品費等)、賃借料(施設使用料等) |
スタートアップの集積に関する事業 | 1件あたり5,000万円 | 委託料、工事費、設計費、備品購入費(1件あたり10万円以上) |
また、本事業に申し込むためには臨海副都心区域内で補助対象事業を行う企業である必要があります。
本事業について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:東京都臨海副都心DX推進事業(補助制度)
地域復興実用化開発等促進事業費補助金(福島)
福島県が実施するこの補助事業は、震災や原子力災害によって失われた浜通り地域などの産業・雇用を回復するため、新たな産業基盤の構築を目指す「福島イノベーション・コースト構想」の重点分野にて、地域振興に資する事業を行う地元企業等、または地元企業と連携する企業を対象としたものです。
補助の対象となるのは、福島県浜通り地域等において、前述した事業の実用化・事業化に向けた取り組みです。補助上限は7億円以内と大きく、対象経費には施設工事費や機械設備費、人件費、材料費、委託費などが含まれます。
※福島県浜通り地域等:いわき市、相馬市、田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、新地町、飯舘村”の15市町村
本事業について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:地域復興実用化開発等促進事業費補助金
福岡市スタートアップ海外展開支援補助金(福岡)
福岡市が実施するこの補助事業では、世界に通用する技術やサービス、プロダクト等を持つスタートアップに対して、海外展開に要する経費などを助成するものです。
福岡市スタートアップ海外展開支援補助金の概要
区分 | 補助上限額 | 対象経費 |
---|---|---|
高度人材雇用 | 500万円 | 直接人件費、人材紹介手数料 など |
海外拠点開設 | 120万円 | 賃料、初期費用など |
海外イベント出展 | 40万円 | ブース出展料、設備リース費用、参加パス、交通費、宿泊費 など |
この事業は福岡発のグローバルスタートアップを輩出することを目的としており、対象事業者には創業からおおむね10年以内、かつ本社を福岡市内に置く企業などの要件が設けられています。
本事業について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
スタートアップが活用できる助成金
厚生労働省が実施する助成金においても、スタートアップが活用できるものが多くあります。事業規模拡大とあわせて人材育成にも着手したい企業は、次の助成金もチェックしてみましょう。
キャリアアップ助成金
この助成金は、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップ促進を目的とした助成金で、活用のためには非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善への取り組みが必要です。
正社員化支援として「正社員化コース」「障害者正社員化コース」が、処遇改善支援として「賃金規定等改定コース」「賃金規定等共通化コース」「賞与・退職金制度導入コース」「社会保険適用時処遇改善コース」が設けられています。
それぞれに人数や回数などの助成上限があるものの、一人当たり数万円から120万円までの助成金が受け取れます。
本事業について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:キャリアアップ助成金
人材開発支援助成金
この助成金は、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練などに対して、その経費などを支援するものです。
この助成金には「人材育成支援コース」「教育訓練休暇等付与コース」「人への投資促進コース」「事業展開等リスキリング支援コース」の4つのコースが設けられています。
人材育成支援コースは、職務に関連した知識やスキルを習得させるための訓練や、非正規雇用労働者の正社員化を目指す訓練にかかる訓練経費や、訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
人への投資促進コースでは、高度デジタル人材などを育成する訓練が助成の対象です。新規事業の立ち上げやデジタル人材の育成を考えている企業は概要や要件について確認してみましょう。
本事業について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:人材開発支援助成金
早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)
この助成金は、中途採用の拡大を図る企業を支援するものです。中途採用率を20ポイント以上上昇させることで助成の対象となる「中途採用率の拡大」と、45歳以上の労働者全員の賃金を前職と比べて5%以上上昇させるなどの複数要件を満たすことで対象となる「45歳以上の中途採用率の拡大」の2つの種類があります。
助成額は中途採用率の拡大が50万円、45歳以上の中途採用率の拡大は100万円です。
本事業について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)
業務改善助成金
この助成金では、生産性向上に資する設備投資(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練など)の導入とあわせて、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資にかかった費用の一部が助成されます。
具体的には、事業場内最低賃金の30円以上の引き上げに加え、生産性向上に資する設備投資を行った場合に、最大で600万円の助成金が受け取れます。
業務改善助成金の対象になるのは、中小企業・小規模事業者に限られます。また、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であるなどの要件が設けられています。
本事業について、詳しくは公式ホームページをご覧ください。
参考サイト:業務改善助成金
スタートアップ企業が補助金・助成金を申請する際のポイント
要件を満たし、申請を行うことで受給できる可能性が高い厚生労働省系の助成金では、不備なく計画を立て、申請書類を作り上げることが大切です。
一方、審査のある経済産業省系の補助金では、審査に通過することを意識して申請に取り組む必要があります。計画の策定や市場分析など、補助金申請にはさまざまな業務が発生します。応募期間に対してゆとりあるスケジュールで申請業務に着手することをおすすめします。
まずは募集要項などを熟読し、自社の事業と補助の目的が合致しているかを確認しましょう。補助の目的にそぐわないものに申請しても、審査を通過できません。
また、補助対象事業の計画には具体的な目標やスケジュールを明記するとともに、実現可能性が高い事業であることを示しましょう。
補助対象事業の収益性も審査においてポイントとなります。将来性と持続性のある事業であることを示すために、見込み収益や市場分析についても記します。
まとめ|スタートアップが活用できる補助金や助成金は豊富にあります
スタートアップが活用できる補助金や助成金は数多くあります。とはいえ、すべての補助金や助成金を確実に活用できるわけではありません。まずは自社の既存事業やこれから着手したい分野・事業に活用できそうな補助金を探してみましょう。
記事監修者
菅野 勇人
宅地建物取引士
セットアップオフィスから一般的なオフィスまで、多種多様なオフィスビルの魅力や特徴を熟知したオフィス物件マニア。
スタートアップ企業の移転支援経験が多く、そこで得た知見を活かし、お客様の理想のオフィス探しを全力でサポートいたします。